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懲戒解雇の取り扱い

労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約に関する基本的事項を定めることにより、労働条件の決定・変更が円滑に行われ、個別の労働関係が安定することを目指して「労働契約法」が制定され、平成20年3月1日施行されました。
この労働契約法および労働基準法の規定のうち『 解雇 』に関する部分をご紹介します。

■ 解雇  (労働契約法 第16条)
近年、解雇をめぐるトラブルが増大しており、その防止・解決を図るには、解雇に関する基本的なルールが明確であることが必要です。そこで、最高裁の判決で確立しているものの、これまで労使当事者間に十分に周知されていなかった「解雇権濫用法理」が労働基準法に規定され、その後「労働契約法」にこの規定が移植されました。

労働契約法第16条で、
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。 」と規定されています。
※「解雇権濫用法理」とは、昭和50年に初めて最高裁の判例として確立されたものです。この判決では「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になると解するのが相当である。」と判示されています。
※ 本条については、「本法における解雇ルールは、解雇権濫用の評価の前提となる事実のうち圧倒的に多くのものについて使用者側に主張立証責任を負わせている現在の裁判上の実務を何ら変更することなく最高裁判所判決で確立した解雇権濫用法理を法律上明定したもの」であり、「本法における解雇ルールの策定については、最高裁判所判決で確立した解雇権濫用法理とこれに基づく民事裁判実務の通例に則して作成されたものであることを踏まえ、解雇権濫用の評価の前提となる事実のうち圧倒的に多くのものについて使用者側に主張立証責任を負わせている現在の裁判上の実務を変更するものではない」ことが立法者の意思であることが明らかにされています。
※なお、整理解雇 ( いわゆるリストラ解雇 ) する場合には、
人員削減の必要性(事業閉鎖の必要性)
人員削減の手段として整理解雇を選択することの必要性(解雇回避のために配置転換等をする余地がないことなど)
解雇対象者の選定の妥当性(選定基準が客観的、合理的であること)
解雇手続の妥当性(労使協議等を十分に実施していること)

の各要件(要素)が必要であるとされています。

■ 就業規則への「解雇の事由」の記載  (労働基準法 第89条第3号)
労使当事者間において、解雇についての事前の予測可能性を高めるため、就業規則に「退職に関する事項」として「解雇の事由」を記載する必要があることが、法律上明記されています。

※ 既に作成している就業規則に、「退職に関する事項」として普通解雇・懲戒解雇を含む「解雇の事由」を記載していない場合には、「解雇の事由」を記載した上で、改めて、労働基準監督署へ届け出なければなりません。原則として、こうした懲戒解雇事由の規定がなければ、懲戒解雇処分をすることが出来なくなります。

■ 労働契約締結時における「解雇の事由」の明示  (労働基準法 第15条)
労使当事者間において、解雇についての事前の予測可能性を高めるため、労働契約の締結に際し、使用者は「解雇の事由」を書面の交付により労働者に明示しなければならないことが明確にされました。

■ 解雇理由の明示  (労働基準法 第22条第2項)
解雇をめぐるトラブルを未然に防止し、その迅速な解決を図るために、これまでの退職時証明に加えて、労働者は、解雇の予告をされた日から退職の日までの間においても、解雇の理由についての証明書を請求できることとされました。
ただし、使用者は、解雇の予告がされた日以後に労働者がその解雇以外の事由によって退職した場合は、この証明書を交付する義務はありません。

以上のような法規定、裁判例趣旨から、社内で解雇問題が現実のものとなった時点において、就業規則の法に照らした整備が完了していなければ経営者は相当不利な状況に置かれることがお分かりいただけると思います。

一刻も早い時期の就業規則の専門家の手による見直しを強くお勧めします。

いくつかの例を見てきたので申しますが、
『問題が起きてからでは手遅れなのです。』