<就業規則と労務管理> 試用期間とは


従業員を採用する際、履歴書や短時間の面接でその人の能力や適性を見極めるのは難しいものです。
そこで多くの会社では「試用期間」というものを設けています。

試用期間は3ヶ月とか6ヶ月が一般的です。
長さについて労働基準法では決まりはありませんが、従業員はその間不安定な立場に置かれますので期間や期間中の処遇を就業規則等に定めておかなくてはなりません。ずっと試用期間というのは許されず、最長でも1年が限度と解釈されており、多くは3ヶ月、長くとも6ヶ月程度が一般的となっています。

法律的には試用期間というのは「解約権が留保された労働契約の期間」と考えられています。テスト期間ではなく既に本契約の期間とみなされるのです。
解約権が留保されているというのは、通常の解雇よりもいくらか広い範囲で解雇の自由が認められる傾向ですが、試用期間中であれ、試用期間後の本採用拒否であれ「解雇」であることには変わりはありません。
入社後14日を過ぎていれば30日以上前の解雇予告または解雇予告手当の支払いも必要です。(労働基準法第20・21条)

本採用拒否の正当な理由としては、無断欠勤が多い、出勤率不良、重大な経歴詐称、勤務態度や接客態度が悪く上司から注意を受けても改善されない、協調性を欠き、従業員として不適格である、などが過去の裁判例で認められています。
(ただし、類似の事例でも裁判所の判断は個別事案の詳細事情により変わります。)

試用期間は、その者の能力や適性を見極める期間であると同時に教育・指導する期間でもありますので、不適格な事由があったとしても会社側はどのような指導・教育を行ったかが問われます。

当初予定していた試用期間が過ぎても、もう少し様子を見たいという場合もあるかもしれません。しかし、試用期間の延長は特別な理由がない限り一方的に行うことはできません。どういう場合に延長になるかは就業規則等に定めておかなくてはなりません。延長せざるを得ない場合には、従業員に就業規則等に定めたどのケースに当たるか説明をし、延長した試用期間の中で改善を促すことが必要になるでしょう。

試用期間中も、労働保険(労災・雇用)や社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金)の加入基準を満たしていれば、最初から加入させることが必要です。