<就業規則と労務管理> ワークライフバランス


「ワークライフバランス」。
「仕事と生活との調和」と訳されますが、背景には労働者が十分な能力を発揮するには、私生活とのバランスが重要であるという考え方があります。

少子高齢化が進み労働人口が減少していることと、労働への価値観の多様化により、企業はさまざまな働き方を受け入れなければ人材を確保することが難しくなってきています。育児や介護などしながら働き続ける人は増えており、また、私生活とバランスをとりながら働くことを選択する人も増えています。

2006年8月にインターナショナル・リサーチ・インスティチューツが世界24カ国1万4千人を対象に「ワークライフバランスに関する世界意識調査」を行ったところ、仕事と生活の調和がうまくとれてインターナショナル・リサーチ・インスティチューツいるという回答の割合が低かったり、全く満足していないという回答の割合が高い国は、日本をはじめ少子化の傾向のある国でした。また、日本は「仕事と生活の調和に全く満足していない」人の割合が16パーセントと24か国中トップです。

ワークライフバランスは時代の要請であるとともに、企業の人材確保のための重要な鍵なのです。

2008年3月施行の労働契約法の第3条にも、次のような規定が設けられました。「労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする」。これからは、転勤や出向など従業員の生活に影響のある人事にはますます配慮が必要となると言えます。

ワークライフバランスは、従業員のスキルアップのための時間や私生活を充実させる時間を作り出し、それによって能力がフルに発揮され、生産性の向上につながるものです。欧米では生産性向上,優秀な人材の確保などに実際成功しており,更にワークライフバランスへの取り組みに力を注いでいます。

ワークライフバランス実現のためには、単に長時間労働を改善していくというだけでなく、多様な価値観やライフスタイルを受け入れることができる職場づくりが重要となります。