<就業規則と労務管理> 特定健康診断(メタボ健診)


平成20年4月から義務付けられた「特定健康診断」。通称「メタボ健診」は、高血圧や高脂血症といった生活習慣病の原因となるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の該当者と、その危険性のある者を見つけ出し、生活習慣病を予防、改善するための保健指導を受けさせるというものです。
対象者は40歳〜74歳の医療保険加入者と扶養家族です。

特定健康診断義務付けの背景には、医療費の増大があります。
高齢化の急速な進展に伴い疾病構造も変化し、疾病全体に占める虚血性心疾患、脳血管疾患、糖尿病などの生活習慣病の割合が増加しています。
現在、死亡原因に占める生活習慣病の割合は約6割、医療費における生活習慣病の占める国民医療費は約3割となっています。

特定健康診断は、喫煙習慣も含む既往歴の調査、身長、体重、BMI、血圧、肝機能検査などの健診項目に腹囲測定が加わるのが特徴です。
腹囲が基準値(男性85cm、女性90cm)を超えていたり、肥満と認められる場合は、血糖値、中性脂肪やコレステロール値、血圧、喫煙の有無によって生活習慣病のリスクを判定します。
リスクの高さによって、動機付け支援(個別面接や詳細なアンケートにより自発的改善を促す)、積極的支援(個別面接などにより食生活や運動の目標を立て、その後の変化も点検していく)といった保健指導を行うことになります。

この「特定健康診断」は健康保険組合などの保険者に義務付けられたものであって、企業に義務付けられたわけではありません。
しかし、企業の社会的責任(CSR)が重視されるようになっている現代では、従業員の健康と生活を守ることで社会への責任を果たすということが期待されており、国をあげての生活習慣病対策に無関心でいることはできません。

短期的に見るとコスト増大の可能性、追加業務の可能性などが気になるところですが、従業員の病気を予防し、健康を守るというCSRの取り組みは、中長期的にはプラスになることでしょう。