■遅刻常習犯
たかが遅刻だからと放置する会社側の対応こそが将来問題を大きくする
 「仕事はできるのだから、たかが遅刻くらい…」と、たびたび遅刻を繰り返す常習犯への対応がなおざりになっていませんか。本人が遅刻を繰り返しているのは、「今までの感じから言ってここまでなら会社も大目に見てくれるはず…」と考えているからであって、こうした考えを生み出させた原因は毅然さを欠いた過去の会社の対応にあります。こうした状況は常習犯本人だけに留まらず、周囲のまじめな従業員の不満を募らせ全体の士気を低下させる原因となり、また労務管理上将来大きなトラブルの種ともなりかねません。

 そもそも会社には従業員の労働時間を把握する義務があるのですからこれを徹底し、『例え1分でも遅刻は遅刻』と遅刻した時間分の賃金カットを行うことは元より、その都度、その場で上司による注意を行った上でその内容を記録に残すことも重要です。また注意を行うも遅刻が複数回に及ぶ者に対しては 就業規則に定める基準(回数など)に則って全員に対して一貫性のある懲戒処分を行うべき でしょう。

 始末書を提出させた上で減給処分や出勤停止処分などを順に行ってゆきますが、どうにも改まらない場合には懲戒解雇処分もありえます。ただし、ここまで至るには、相当期間、相当回数、客観的に説明できる会社側からの改善を促す努力がなされた事実が必要ですから、勤怠実績を示す資料、提出された始末書、処分通知書などの記録を整えておくことも、会社のリスク管理の上で重要になってきます。