<就業規則と労務管理> セクシャル・ハラスメント(セクハラ)


職場におけるセクシャル・ハラスメント(セクハラ)とは、相手の意に反した不快な性的言動のことであり、従業員の反応によって仕事上不利益を与える「対価型」と、就業環境が不快なものとなったため従業員の能力の発揮に悪影響が出る「環境型」があります。

平成19年4月施行の改正男女雇用機会均等法では、セクシャル・ハラスメントに対する措置を講ずることを会社に義務付けました。対策が講じられず、是正指導に応じなければ「企業名公表」の対象となります。

指針によると、雇用管理上講ずべき措置とは、以下の9項目です。

・セクシャル・ハラスメントの内容・方針の明確化、従業員へ周知・啓発
・セクシャル・ハラスメントを行った者への対処内容を就業規則等の文書に規定
・相談窓口を定める
・相談窓口担当者が適切に対応できるようにする
・事実関係を迅速かつ正確に確認
・行為者・被害者に対する措置をそれぞれ適正に行う
・再発防止の措置
・プライバシーの保護
・相談したこと又は事実関係確認に協力したことを理由に不利益な取り扱いを行ってはならない旨定める

以前は男性への性的嫌がらせのことは通称「逆セクハラ」などと呼んでいましたが、改正男女雇用機会均等法により、男性から女性だけでなく、女性から男性、同性同士であっても、相手の意に反する不快な性的言動はすべて「セクハラ」となります。
男性同士で、性的な事実関係を話させたり、性的な冗談を言ったりするのをコミュニケーションの潤滑油だと思い込んでいるようなケースは要注意です。
また、ここで言う「職場」とは、通常就業している場所以外でも、出張先や取引先、打ち合わせのための飲食店はもとより、宴会等であっても実質上職務の延長と考えられるものは該当します。
相手が取引先や派遣先である場合も含まれますので、社会全体の意識が高まる中「社内ではこれが普通」というのはリスクが高いと言えます。

セクシャル・ハラスメントは個人的問題ではなく雇用管理上の問題であり、配慮を欠けば会社や管理者の責任が問われるという認識が必要です。就業規則の整備も重要です。